松本まりか


2018年のテレビ朝日「ホリデイラブ」をきっかけに、30代半ばにして大ブレークを果たした女優の松本まりか(エーチームグループ・エーチーム)。21年は、WOWOWオリジナルドラマ「向こうの果て」で連続ドラマ初主演したほか、Amazon Prime Video配信の「雨に叫べば」など主演作が目白押し。さぞ充実した1年と思いきや、「悔しい1年だった」と意外な返事が返ってきた。その理由とは……。


Amazon Prime Video配信「雨に叫べば」で主演、男社会で生き抜く女性監督演じる

「悔しかったですね。正直、キャパオーバーでした。一つ一つの仕事に100%の状態でできないことが本当に申し訳ないという気持ちでした。仕事の返事をお待たせしてしまうことも多かったですし、責任を伴う作品や役が多くなっていく中で、必死に食らいついてはきましたが、やる気だけでは全うできない。至極当然のことですが、1人の人間を演じるというのはそんな簡単なことではありません。大事な人と向き合うのと同じように、役ときちんと向き合う時間がいかに大切かを痛感する毎日でした」

その言葉には、「ホリデイラブ」で見せた、あざとさはない。

確かに21年の出演作の数は半端なかった。ドラマは「教場II」(フジテレビ)、「最高のオバハン 中島ハルコ」(東海テレビ)、「向こうの果て」(WOWOW)、「それでも愛を誓いますか?」(ABCテレビ)、「奪い愛、高校教師」(テレビ朝日)。配信作品には「東京、愛だの、恋だの」(Paravi)、「雨に叫べば」(Amazon Prime Video)、「松本まりかクリスマス24時間生テレビ~24時間で恋愛ドラマは完成できるのか!?~」(ABEMA)がある。



松本まりか『雨に叫べば』


「この仕事は夢を与えても、希望を失わせてはいけない。ですから、『私ができなかった』なんて言えませんでした。でも、誠実にいるためには、失敗も含めて『これが自分が今できる力でした』って正直に認めることが大事なんじゃないかって……。今日初めて言いましたが、それを伝えることが正しいことなのかと、今この瞬間も葛藤しています」と告白する。

最新主演作「雨に叫べば」は日本アカデミー賞作品賞を受賞した「ミッドナイトスワン」の内田英治監督作。内田監督とは、幼なじみを殺してしまったヒロインを演じた「向こうの果て」に続く再タッグだ。1980年代の映画製作現場を舞台に、エロチックなラブストーリーのメガホンを取る新人女性監督・花子を演じた。

「お話をいただいたのが『向こうの果て』の撮影中でした。80年代の作品に携わった当時の撮影現場を知る大先輩方やスタッフさんから聞いたお話ですが、昔はこんなもんじゃなかった、と当時の厳しいお話を聞きまして、『向こうの果て』は同じ80年代を舞台にしたシリアスな話だけど、今回はとことんポップでコミカル。役柄も男社会で生き抜く女監督で、強くたくましい。ドラマ撮影中はこの作品が撮れることが楽しみでしたし、実際の撮影もすごく楽しかったです」



松本まりか


濡れ場シーンの演出にも挑戦「現場は80年代の撮影所が見事に再現されていました」

映画監督役も初めて。80年代の撮影所では怒号や罵声が飛び交い、あからさまな男尊女卑もある中、新人監督・花子は濡れ場シーンの演出にも挑戦する。

「内田監督の若いときの体験談が基になっているそうで、少しお話を伺いました。現場は80年代の撮影所が、見事に再現されていました。撮影所、ファッション、カメラ……全てが疑いようもないくらい完璧だったんです。キャストの方々が素晴らしく、面白い。情熱的で、ちょっと滑稽で、熱く、自分の欲望のままに生きている。そんな演技を間近で体感できる。ご褒美みたいな仕事でしたね」

罵声を浴びる経験はこれまでなかったのではないか。



松本まりか『雨に叫べば』


「いえ、何度か現場で罵声を浴びせてもらっています、コテンパンでした(笑)。でも私を舞台に引き上げてくれた劇団☆新感線のいのうえさんのダメ出しは、厳しくもとても愛あるものでした。舞台『Cat in the Red Boots』(06年)に出演した際、いのうえさんからは、何度やっても違うとダメ出しばかり。期待に応えられず、ふがいなさに泣いて帰る日々でしたが、あの時の経験がこの作品でも生きたんじゃないかと思います」

幼いときに母親の愛情に恵まれず、その寂しさを表現にぶつける女性監督・花子役には共感する部分も多かった。「私の幼少期の家庭環境もそうでした。母が働いていたので、祖父母に育ててもらいました。寂しいっていう思いが、表現という欲求につながっています。女優と監督、その役職は違ったとしても、同じですよね。私も、自分の生い立ち、自分の中で抱えたものを表現という形で昇華させようとしている部分はありました。まだ、しきれてはいませんが、この1、2年はそういった場をいただけていますし、いつの日か昇華できるようにきちんと向き合い続けていきたいと思います」

00年、鈴木杏、栗山千明、山田孝之らが出演したドラマ「六番目の小夜子」(NHK教育)でデビューしたが、役に恵まれなかった。それが18年、仲里依紗主演のドラマ「ホリデイラブ」(テレビ朝日)でヒロインの夫を誘惑する、あざとかわいい井筒里奈を演じ、一気にブレークし、SNSのフォロワー数が急増した。



松本まりか


ブレークのきっかけとなったドラマ「ホリデイラブ」は「大きな作品でした」

「内田監督の若いときの体験談が基になっているそうで、少しお話を伺いました。現場は80年代の撮影所が、見事に再現されていました。撮影所、ファッション、カメラ……全てが疑いようもないくらい完璧だったんです。キャストの方々が素晴らしく、面白い。情熱的で、ちょっと滑稽で、熱く、自分の欲望のままに生きている。そんな演技を間近で体感できる。ご褒美みたいな仕事でしたね」

罵声を浴びる経験はこれまでなかったのではないか。

「いえ、何度か現場で罵声を浴びせてもらっています、コテンパンでした(笑)。でも私を舞台に引き上げてくれた劇団☆新感線のいのうえさんのダメ出しは、厳しくもとても愛あるものでした。舞台『Cat in the Red Boots』(06年)に出演した際、いのうえさんからは、何度やっても違うとダメ出しばかり。期待に応えられず、ふがいなさに泣いて帰る日々でしたが、あの時の経験がこの作品でも生きたんじゃないかと思います」



松本まりか


幼いときに母親の愛情に恵まれず、その寂しさを表現にぶつける女性監督・花子役には共感する部分も多かった。「私の幼少期の家庭環境もそうでした。母が働いていたので、祖父母に育ててもらいました。寂しいっていう思いが、表現という欲求につながっています。女優と監督、その役職は違ったとしても、同じですよね。私も、自分の生い立ち、自分の中で抱えたものを表現という形で昇華させようとしている部分はありました。まだ、しきれてはいませんが、この1、2年はそういった場をいただけていますし、いつの日か昇華できるようにきちんと向き合い続けていきたいと思います」

00年、鈴木杏、栗山千明、山田孝之らが出演したドラマ「六番目の小夜子」(NHK教育)でデビューしたが、役に恵まれなかった。それが18年、仲里依紗主演のドラマ「ホリデイラブ」(テレビ朝日)でヒロインの夫を誘惑する、あざとかわいい井筒里奈を演じ、一気にブレークし、SNSのフォロワー数が急増した。
「『ホリデイラブ』は私には大きな作品でした。プロデューサーさんが小劇場『城山羊(しろやぎ)の会』の舞台『水仙の花 narcissus』(15年)に出ていた私を発見してくれた。彼女がいなかったら、今の私はなかったですね」



松本まりか


「ホリデイラブ」までの道のりも、いろんな偶然が積み重なっている。

「城山羊の会も、(演出家・俳優の)河原雅彦さんが『面白いよ』って言ってくれたのがきっかけでした。当日券で最後のチケットを手に入れて、舞台を見て、面白いと思ったんです。それで突き動かされるようにオーディションを受けました。オーディション当日、私は舞台の昼夜公演があったのですが、その間の時間でオーディションを受け、舞台に出ることができました。1つボタンを掛け違えていたら、そこに行けなかったと思うんです。同様に、もしかしたら若いときにも、そういうチャンスがあったかもしれない。自分が1番やりたいものをやり、結実するまでに時間はかかりましたが、必要な時間でした」

大事なのは、「自分の直感を信じて、好きなことをやり続けること」と松本。「22年からは、少しでも役と向き合う準備期間を設け、ひとつひとつ丁寧に仕事をしていきたいと思っています」と一層の精進を誓った。



松本まりかInstagramより



配信作品『雨に叫べば』公式サイト | 東映ビデオオフィシャルサイト
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